伊丹空港は四方を市街地に囲まれた空港です。東日本からの
フライトでは大阪府と奈良県の境界にある生駒山の上空で
右へ大きくカーブして大阪平野に入ります。大阪城など大阪
市街地の真上を飛んでドンドン高度を下げ淀川をこえて一気に
着陸するパターンはなんとなく大阪らしいダイナミックさに
あふれています。
50名から70名乗りの中型ジェット機で地方都市を結ぶリージョ
ナル航空会社、アイベックスエアラインズはこの伊丹空港を
拠点空港のひとつとしています。路線は仙台、福島、新潟、福岡、
大分とを結んでいて営業面では全日空(ANA)と提携していること
から全便がANAのコードシェア便となっています。保有機材は
ボンバルディアCRJ200ER(50名のり)2機と同CRJ700NG(70
名のり)7機の合計9機です。それではアイベックスで伊丹に
降り立ちましょう。
伊丹空港の正式名称は大阪国際空港。しかし現在国際線の定期便は
就航しておらず、純粋な国内線空港となっています。滑走路は平行
して2本あり、メインのB滑走路は長さ3,000メートル、補助用
A滑走路は1828メートルの長さがあります。大阪を名乗っては
いますが良く知られている通り大阪府池田市と豊中市、兵庫県伊丹市
の3市にまたがる敷地に立地しています。
1939年大阪第二飛行場として誕生し、しばらくは軍民共用の
空港でしたが第二次世界大戦に至って陸軍の伊丹飛行場となり
戦闘機の「飛燕」などが配置されていた時代もあったようです。
戦後は他空港同様アメリカ軍に接収されましたが1958年に
接収解除となり大阪空港として再開港しました。それ以降
高度経済成長期を経て発展の一途をたどりましたが1970年代
には航空機の騒音公害がクローズアップされ一時は廃港さえ
取りざたされたのでした。このことと伊丹空港の容量が限界に
近くなったことから関西新空港の構想が生まれ、やがて泉州沖の
関西空港実現へと結実してゆきます。
大阪市の都心部から15キロほどの「近い空港」なのですが
直通で結ぶ交通機関はバスだけで、使い勝手のある鉄道アクセス
がないことがやや弱みのようになっています。大阪モノレールが
伊丹空港を始発駅としていますが同線は大阪都心部には向かわず、
大阪市の外周部をたどって京阪電鉄の門真市駅まで達しています。
この門真市駅を含めて合計7路線と大阪モノレールは接続して
いるので乗り換えさえ厭わなければ、便利な地域に住む人口は
かなりあると思われます。京都市内なども南茨木で阪急京都線
に乗り換えれば河原町まで直通しますので観光の足として使え
ます。ただただ大阪都心との往復には使いずらいのです。梅田から
阪急宝塚線の急行で蛍池。そこからモノレールひと駅で伊丹。
これが鉄道最短ルートです。
余談になりますが以前空港から大阪都心に向かう阪神高速
の沿線に「チチヤス」と書かれた大看板がありました。
ヨーグルトなどをつくる乳業会社の看板だったのですが、
大阪の地元の方々からは「伊丹に着いてあの看板見ると
関西に帰って来たと実感するんや!」と言われていたもの
です。残念ながら今はもうないようですが。